弁護士コラム

少年審判と付添人制度

あなたのお子さんが少年審判を受けることになったら

~付添人制度の利用について~

1 はじめに

皆さんは「付添人(つきそいにん)制度」をご存知でしょうか。付添人とは、少年事件(未成年者の非行に関する事件)で、少年や保護者から依頼を受け、少年の立場に立って活動する人のことを言います。

2 少年事件における手続の流れ

少年が非行を犯したら(または疑われたら)、身柄拘束を受けて取り調べを受ける場合(逮捕、勾留)と、自宅から警察署や検察庁に通って取り調べを受ける場合(在宅)とがあります。
捜査が終わると、事件は家庭裁判所に送られます。裁判所では、裁判官が少年に面談したり、捜査記録を読んだりして、少年を少年鑑別所に入所させて生活態度を含めた十分な調査を行う必要があるかどうかを判断します。必要があると判断された場合、少年は少年鑑別所に入所して(観護措置)、鑑別所や裁判所の調査を受けることとなります。必要がないと判断された場合は、自宅から裁判所に通い(在宅)、調査を受けることとなります。
調査終了後、裁判所で審判が開かれ、少年をどのような処分にするか(不処分、保護観察、少年院送致等)が決まります。

少年事件における手続きの流れ

3 付添人の役割

付添人は、事件が家庭裁判所に送られてから、少年が審判を受けるまでの間、少年の立場に立って、次のような活動をします。
付添人は、少年やその家族と面談し、必要があれば学校、勤務先などの関係者とも連絡を取り合って、少年と一緒に非行の原因や解決策を考えます。被害者に弁償したり、謝ったりする必要がある場合は、被害者と連絡をとるお手伝いをします。少年が悩みを抱えている場合は、家族や学校、勤務先などと話し合いをし、少年の帰る場所を作る努力をします。このように、付添人は、少年が自分の問題点を考え、反省を深め、新たな一歩を踏み出すためのプロセスに寄り添います。
そして、審判の場では、少年が裁判所に、審判までに考えたことや意見を伝えるのを手伝います。
もちろん、少年が身に覚えのない疑いをかけられている場合、それが間違いであることを裁判所に伝えていくのも、付添人の大切な役割の1つです。

4 当番付添人制度

では、付添人を依頼するにはどのような方法があるのでしょうか。
福岡県弁護士会北九州部会では、「当番付添人制度」を実施しています。観護措置を受けた(少年鑑別所へ送られることになった)少年や保護者が希望し、当番付添人の派遣を依頼すれば(連絡先093-561-0360)、弁護士が鑑別所に面会に行き、少年の話を聞いて、今後の手続きの説明やアドバイスを行います(初回無料)。その際に、少年が付添人の選任を希望すれば、面談した弁護士を付添人に選任することができます。弁護士を依頼するお金がない場合、「少年保護付添人援助制度」を利用すれば、弁護士費用を負担する必要もありません(利用要件を充たすかは個別に弁護士にご相談ください)。

5 おわりに

少年は、付添人と話をしていく中で、自分の生活態度を見直したり、反省を深めたりすることができますし、付添人も、少年が改めるべき所は改め、よりよい人生を送ることができるよう、できる限りのお手伝いをします。
少年が付添人の手助けを受けながら、自分を見つめ直し、更生することができるように、当番付添人制度をぜひご利用ください。