弁護士コラム

生活保護

 突然大きな病気にかかり働くことができなくなってしまった、突然会社が倒産して失業してしまった・・・。このような突然の出来事により生活に困る可能性は誰にでもありえます。
そのようなときに利用できる所得保障制度が生活保護制度です。

 それでは、北九州市小倉北区在住のAさん(52歳、求職中、一人暮らし)を例に、生活保護の申請から受給までの一般的な流れについて、簡単に説明したいと思います。

  • 生活保護は「申請」に基づいて開始されますので、まず福祉事務所に対して「申請」をする必要があります。そこで、小倉北区内に在住しているAさんは、小倉北区役所内にある小倉北福祉事務所に赴き、生活保護の「申請」をすることになります。
  • この「申請」により、福祉事務所の「調査」が行われ、それをもとに保護の「要否判定」が行われて、保護を「開始」するか、申請を「却下」するかが決まります。
  • そして、Aさんの収入が国が定めた最低生活費より少ない場合には、保護が必要であるとして生活保護が「開始」され、最低生活費に満たない部分について生活保護費が支給されます。
  • ちなみに、北九州市の最低生活費は、Aさんの場合、①生活扶助1類(食費被服類に対応)36、460円、②生活扶助2類(光熱費等に対応)41、480円、③住宅扶助31、500円(を限度に実際の賃料額)を合計した10万9440円であり、収入がこれを下回る場合に生活保護が開始されます。
  • その結果、Aさんの収入が0円の場合には、10万9440円が支給されることになります。

 生活に困ったとき、人は返済のメドの立たない借金をしがちです。しかし、借金はいつかは返済をする必要があり、あとで余計に苦しむことになる可能性もあります。この点、生活保護は基本的には給付されたものを返済する必要はありません。そして、生活保護は憲法により保障された権利であり、生活保護を受給しながら困難を乗り越えることが望ましいといえます。

 生活保護制度においては、過去の一時期、「相談」扱いで済ませ、「申請」自体を受理しないという違法な窓口業務の実態がありました(「水際作戦」と言われています)。このような対応は違法であって許されるべきではありません。弁護士会では、生活保護について相談に応じることはもちろん、弁護士が福祉事務所への生活保護の申請や交渉に一緒に出向く「申請同行」の取り組みも行っています。この「申請同行」に費用は必要ありませんので、安心して弁護士会にご相談ください。