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高齢者親族の財産管理について

1 問題点

 高齢で認知症となった親の財産を,同居又は近所に住む子が管理することはよくあることと思います。
 この場合,親が亡くなった後に,親の財産を管理していた者が,他の相続人から,財産管理に問題があった(使い込みをした)という疑いを持たれ,返還を求められるケースがあります。この問題から,相続人間での不信感を生み,遺産相続の争いに発展するケースもありますし,遺産相続の争いの中で,このような主張が出てくることは少なくありません。
具体例として,被相続人(相続人は長男と次男の二人)が死亡時に2000万円の預金を有していたが,次男の財産管理のもとで,被相続人の生前に合計400万円の使途不明の出金があった場合を考えてみましょう。
 この場合,まず,遺産の2000万円については遺産分割協議を行ないますが,使途不明金400万円について,領収証等がなく,使途について合理的な説明ができなかったときには,長男から請求があれば,遺産相続とは別に,次男は長男に対して200万円(400万円の法定相続分2分の1の金額)を自身の財産から支払わざるを得なくなる可能性があります。
 このような事態にならないようにするために,どのような点に気をつけて財産管理を行なったらよいでしょうか。

 

2 対処方法

1 管理状況を明確にし,自己の財産と親の財産を混同しない

 本人のための支出は記録しておき(家計簿のような記録を残す),領収証等の使途を明確に説明できる資料を保管しておきましょう。裁判になったときは,使途について合理的な説明ができないとその分が不当利得と判断される可能性が高くなります。
 そして,親のための支払いは親の財産から出金して行なうようにし,また,一時的な借用のつもりであったとしても親の財産から自分自身のための支出を行なわないようにして,自己の財産と親の財産をはっきり区別しておきましょう。
 このようにしておけば,財産管理について他の相続人から疑念を持たれる可能性が少なくなりますし,裁判になっても,使途についての立証が可能となります。

 

2 成年後見開始の申立をする

 成年後見とは,本人が認知症等で判断能力を欠く状態になった場合,親族等の申立により開始され,成年後見人が本人に代わって財産管理及び身上監護を行なうというものです。成年後見人には,財産管理・身上監護について法的な代理権が付与されます。
 成年後見人は,裁判所の監督の下で財産管理を行ない,管理状況を裁判所に報告することが求められますので,財産管理について他の相続人から疑念を持たれる可能性は上記①の場合よりも少なくなりますし,裁判になっても,使途についての立証が容易になります。
 ただ,注意点としては,申立ての際に後見人候補者として挙げた親族が成年後見人になるとは限らないこと, 一旦申立てをすると裁判所の許可なく取り下げができないということが挙げられます。例えば,自分が成年後見人になるつもりで後見申立をしたが,自分が後見人に選任されないことがわかったから申立てを取下げるということはできません。親族間の争いが顕在化している場合や,本人の財産が高額である場合は,弁護士等の専門職が選任される可能性が高いといえます。
 なお,財産管理をしていない親族が,本人の財産を管理している者の管理に不安を感じた場合,本人の成年後見申立をし,信頼できる別の親族や弁護士等に本人の財産管理をしてもらう,というかたちで成年後見制度を利用することも考えられます。成年後見制度の利用をお考えの方は、ぜひお近くの法律相談センターにて弁護士にご相談ください。

 

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