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改正労働契約法(有期労働契約の新しいルール)

   本コラムでは労働問題について順次ご紹介していますが、今回は、平成24年8月に改正された労働契約法(以下「改正労働契約法」といいます)についてご紹介します。

 

1 改正労働契約法の成立とその内容

 今回の労働契約法の主な改正点は「有期労働契約」に関してのものです。ここで「有期労働契約」とは労働期間の定めのある雇用契約のことを言い、パート・派遣社員・契約社員・嘱託職員などの名称に関わらず、労働期間の定めのある雇用契約を締結している労働者が「有期契約労働者」にあたります。改正の主な内容は次の3つです。

 

  1. 5年を超えて更新された有期契約労働者の「無期労働契約への転換申込権」の新設
    (18条)
  2. 「雇止め法理」の法定化(19条)
  3. 期間の定めがあることによる「不合理な労働条件」の禁止(20条)

 

 今回の改正労働契約法は、有期労働契約がいつ『期間満了』という理由で雇用契約を終了させられる(これを「雇止め」といいます)か分からないという労働者の不安を軽減するとともに、労働期間の定めがあることによる不合理な労働条件差別を是正し、労働者が等しく安心して働き続けることができる社会を実現することを目的に改正されたものです。
 以下、詳しくご説明します。

 

2 無期労働契約への転換申込権
   (改正労働契約法18条、平成25年4月1日施行)

 改正労働契約法の18条は、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みによって、有期労働契約が無期労働契約(労働期間の定めのない雇用契約)に転換するというルールを定めたものです。5年のカウントは平成25年4月1日から計算することになります。したがって、今まで有期労働契約で5年を超えて働いている人も改めて平成25年4月1日以降からカウントをすることになります。

 

 無期転換申込権は、5年を超えて「働いた」ら発生するのではなく、契約期間が通算して5年を超えれば発生します。例えば、3年間の有期労働契約を締結して働いてきた労働者が、契約更新をした場合、契約期間を合算すると6年(5年を超える)になるので、契約を更新した時点で無期転換申込権が発生します。

 

 申込権の行使時期については「現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間」に行使する必要があります。したがって、上の例によると、更新した時点から通算6年の契約期間が終了するまでの間に無期転換申込権を行使する必要があり、契約終了後は申込権を行使できなくなります(なお、契約期間中に申込権を行使しなくても、再度契約が更新されれば、その再度の更新の時点で新たに無期転換申込権が発生します)。

 

 無期労働契約に転換された後、使用者が雇用を終了させようとする場合には、労働者を「解雇」する必要がありますが、解雇には様々な規制があることは弁護士コラム「不当解雇?」の回でご紹介したとおりです。

 

3 「雇止め法理」の法定化
   (改正労働契約法19条、平成24年8月10日施行)

 これまで、有期労働契約を繰り返し更新し、労働者に長期雇用や契約更新への期待を持たせながら、使用者(会社)の一方的な都合によって労働契約期間の満了を理由に「雇止め(契約更新を拒否して雇用を終了させること)」をすることが数多くありました。

 

 このような「雇止め」に対して長年裁判で争われてきた結果、最高裁判所は『期間の定めのある雇用契約があたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合』又は『労働者においてその期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合』には、当該雇用契約の雇止めは客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められないときには許されないという法理を確立しました。

 

 この判例法理を「雇止め法理」と言い、今回改正で19条として法定化されたものです。

 

4 不合理な労働条件の禁止
   (改正労働契約法20条、平成25年4月1日施行)

 有期契約労働者は、有期契約であるために常に「雇止め」の不安にさらされています。使用者(会社)に労働基準法違反などがあったとしても、不満をいえば雇止めされてしまうため、権利を主張することもできません。使用者(会社)が一方的に不合理な労働条件を決めても、有期契約労働者は契約を更新してもらうために従わざるを得ないという極めて弱い立場にあると言えます。

 

 そこで今回の改正により、無期契約労働者と有期契約労働者の労働条件に相違(格差)がある場合に、その労働条件の相違が、

 

  1. 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度
  2. 当該業務の内容及び配置の変更の範囲
  3. その他の事情

 

を考慮して、不合理と認められるものであってはならないという規定(20条)が設けられました。

 

5 最後に

 

 労働契約法が改正されたにもかかわらず、改正内容を熟知していない使用者(会社)から、労働者が不合理な扱いを受けることがあるかもしれません。
 そのような場合、労働問題に関する労働者の方々からの相談は無料ですので、法律相談センターにて弁護士にご相談ください。
 個々の事情に応じて適切なアドバイスをご提供しています。

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